レザーチックネス目利きのチェックポイント①
革の厚み
薄くて柔らかい革に目が行きがちだが、厚みもまた革の魅力。
上の写真はピット槽によるタンニンなめしに定評のある昭南皮革工業による昭南グレージングベンズ。
2014年発行 「日本の革 7号」より
前身は厚物屋と呼ばれる靴の底用革専門店だったレザークラフトフェニックスでは、現在も厚いヌメ革やベンズを数多く扱っている。厚い革の魅力とは、その厚さに応じた腰の強さにあるという。「繊維がつまっているので、型くずれがしにくいんです」。そう語る吉川さんお薦めは、昭南グレージングベンズ。ミリ前後の厚さを持つこの革、原皮は北米産ステアで、2ヶ月かけて丁寧になめされている。「まず上質の原皮ルートの確保、次にこの厚みを平らに伸ばす、世界に数台しかない強力なセッターが必要です。そして経験値とノウハウ。この3つが揃ってはじめて、上質の厚い革をつくることができます」。ガラス玉で革の表面を擦って生まれる艶も美しい。「手の油分を吸って自然にきれいなエイジングをしていきますよ」。
カットしただけでも光る断面は繊維がつまっている証拠。コバの仕上がりも秀逸。
タンナーや問屋から仕入れる約40種類ほどの革が定番として揃えられている。
昭和初期、紡績産業が盛んだった頃に活躍したピッカーもこういった厚い革でつくられた。高速で通る糸にも耐える強度を誇った。